最近、フリーのライターやイラストレーターに憧れる人が増えているといいます。
そこで今回は、こうした一見間口が広いんだか狭いんだか分からない世界について、分かっていることだけを俺がいくらか
紹介してやろうと思います。
【フリーでクリエイティブな仕事がしたい人たちに足りないもの】
まず、どういう経緯でフリーの仕事がしたいと思ったかにもよるんですが、大抵突発的に「あ、あれ食べよ」感覚でこれらの仕事を目指す人は、十中八九いい船出をすることは出来ません。
この世界、例えば貴方が「今日からフリーのクリエイターです」と発言したら、その瞬間に肩書きをゲットすることは可能です。
すぐに名刺を作ってもいいでしょう。
ですがここで、輝かしいスタートを切ったその瞬間、貴方にどれだけの人の目が向いているのかを冷静に考えておく必要があります。
貴方が「今ここに、類稀なる才能を持つ男が誕生した」という言葉が似合うほどの即戦力な人材だとしても、
そのことを業界の人々に知らしめることは容易なことじゃありません。
では何が必要でしょうか。
答えは簡単。編集者や出版関係者など、現役で業界に携わっている人々とのコネです。
コネさえあれば、最初から仕事がポンポン入ってくるでしょう。
逆にいえばコネもミソもないままフリーになったところで、誰も貴方のことなど歯牙にもかけません。
そもそも、貴方の存在を知ることもないし、知ったところで仕事をお願いする奇特な人はいないでしょう。
コネがないままフリーになるということは、本当に馬鹿げているということをよくよく理解して下さい。
【プロになった以上、原稿料や報酬には妥協しないこと】
ただし、前項で述べたように、確かにコネなくして順調な滑り出しは望めませんが、
それでも辛抱強く活動を続けることで、いつかは絶好の機会が必ず巡ってくるものです。
その機会も自力でアポを取るなどして掴み取る必要があるのですが、ここで大切なのは、経験が浅くともプロになったのですから、お金の問題にはシビアになるということです。
これ、特にピクシブとかで趣味でイラストを描いて公開している人に多い話なんですが、
たまに出来がいいイラストを仕上げる人に、業者からコンタクトがあるんですよね。
例えば「おたくにソーシャルゲームで使うイラストの製作を頼みたい」とか、そういう。
んで、これが現在イラストレーターの世界全体を大きく揺るがす問題になってるんです。
というのも、イラストの腕に関してはプロ並みだとしても、描いてる当人は相場についてはほとんどズブのクソ素人ってことが多くて、提示された金額をよく考えずに承諾するってケースがマジで多いんですよね。
20枚で20000円とか。
するとソーシャル業界のクライアントも、「なんだこの程度の費用でイラストは確保できるのか」となるわけです。
困るのは本職のイラスト屋。
1つ30000円で受注していたような仕事が、アマチュアの方が安く大量に仕上げるものだから、全く入らなくなってしまうんです。
そんで依頼が来たかと思えば、業者がアマチュアに依頼していたけどバックレたのでその代わりに何時何時までに仕上げて下さいという無理難題ばかり。
アマチュアからすれば「思わぬところからの依頼が来た。僕は私はこんなに注目されてるんだ!」と舞い上がりたくなるでしょうが、彼らは搾取されているだけではなく、結果的にイラストレーターの仕事まで奪っているというわけです。
特に、お金の価値に無頓着な自称「描き手」風情は、いっちょまえの芸術家気取りで、
「お金の問題じゃない。僕のイラストを多くの人に見てもらってほしいんだ」とのたまう。
その手前の勝手な理想のせいで、本職の人は青息吐息だというのに。困ったものです。
そもそも、本当の芸術家は権利関係についてしっかりと勉強しているものですし、
時にはそのために裁判を起こすこともあります。
前衛彫刻家の成田亨さんの人生を知っている方ならお分かりでしょう。
本当の天才こそ、お金のやり取りには執着するものなのです。
自分の作品価値を蔑ろにする者は、クリエイティブな世界全体のレベルを下げます。
【ノマドライターはコネなし状態では絶対無理】
さて、今度はフリーライターについての話にしましょうか。
フリーで活躍する人というのは、最近ではメディアがノマドライターとかいって話題にしていますね。
ノマドというのは決まった職場で働かない自由なライターで、スタバとかでノーパソ開いて原稿を仕上げるというスタイルを指すようです。
まあ、こういうライターに憧れるんであれば大いにそれは結構なんですが、やっぱりどっかダサくないですか?
もういかにも「私デキるライターです」ってアピールしているようにしか見えないじゃないっすか。
しかもタイピング音って他人にとってそこまで耳障りいいものじゃないですからね。舌打ちとかされんじゃないのって思います。
ノマドってのは要するに上記のような人のことなんですが、そもそもフリーライターなんて大抵自宅で原稿書きますし、本当に集中して原稿に向き合ってればカフェとか効率落ちる可能性のある場所では仕事なんてしません。
都内を飛び回るタイプのライターでもない限り、ノマドなんて名乗る必要はないと思います。
以前知り合いの編集者さんが、「ノマドライター」って肩書きを名刺に印刷してドヤ顔で渡してきたライターの話を、鼻で笑いながらしてました。
ノマドってのはそういう扱いです。
【都市部のフリーライターが仕事を手にするには】
ちょっとおしゃべりが過ぎました。
これを読んでいる貴方が明日ライターになっても困らないように、今度は仕事の見つけ方についてヒントを書いてみたいと思います。
基本的に仕事は待ってても来ないもの。
貴方が都市部にお住まいなら、片っ端から目に付いた、ライターを募集中の会社や編集さんにアタックするのが何よりの近道。
人見知りだとちょっと厳しく思えるかも知れませんが、仕事がないと飯にありつけないし、飯を食えないと死ぬので必死になりましょう。
大抵面接と実際にどんな文章を書けるのかというテストか何かを経ることになります。
合格なら登用されますし、不合格ならすぐに他所を当たれといわれることでしょう。
【田舎暮らしのライターが仕事を手にするには】
今度は田舎住まいのライターがお仕事をどうやって得ればいいのかについてお話ししましょう。
実は俺もそこそこの田舎住まい。
フットワークも軽くありませんし、当然都内に出向くなんて年に数回程度です。
それもどうしても外せない会議ですとか、ご挨拶ぐらい。
後は基本的に自宅でひたすら仕事をしています。
こういう状態が良いか悪いかさておき、現状喰っていけるだけのお金は毎月入っています。
その俺がライターになってすぐに活用したのがネットです。
それももう本当に適当に「ライター 募集 在宅OK」とかのワードで検索して、ヒットしたウェブサイトにコンタクトを取りまくっただけ。
基本的にコネなしだったので、これぐらいしかすることがありませんでした。
例えば100件に連絡したら、そのうち1/5ぐらいは良い返事が戻ってきたように思えます。
後はケースバイケースなんですが、先方が求めているテキストを、短時間のうちに仕上げることが肝要です。
今まで見聞きしたことがないジャンルでも、とにかくやってみる。勉強してみる。そして書いてみる。
調べるというインプットと、書くというアウトプットを同時進行でやれば時間も半分で済みます。
こんな感じで万事地道にやってれば、初月から20万ぐらいは達成できるでしょう。
【おい松本、最後に適正相場について教えろ】
さあ、ここまで読んできた貴方は、もう立派なライターです。
そのモチベーションですぐにでも仕事を探そうじゃありませんか。
は? 相場が分からないから教えろ?
分かりました。
ではペーペーでも最低このラインより下の仕事は請けるなっていう線引きの目安を教えましょう。
ネット上には、「素人でも高収入」だとか「時給換算で900円」だとかのウェブライター募集バナーなんてよく散見されます。
しかし、こういうところって本当にクソみたいな業者で、すっげえ頑張って書いてたった数百円ってことがまあ、よくある。
その代わり、こういっちゃアレですが馬鹿でも猿でも書けるようなレベルの低い仕事が山盛りです。
このレベルでやっとという人もライターであることには変わりないんですけどね。
で、本当にギリギリで引き受けてもいいラインは、1文字1.0円換算の仕事じゃないでしょうか。
100文字で100円。1000文字で1000円。10000文字なら10000円。
これぐらいが、モチベーションが低下しない本当の最低ラインだと思います。
例えばこのコラム、ここまででおよそ4000文字のテキストになってます。
これが1.0円換算の仕事なら、
たったこれだけで4000円の報酬になるっちゅうわけですね。
ちなみにここまでおよそ20分で書いてますので、時給換算なら12000円。
2.0円換算ならさらに倍率ドン! ってなわけです。どうです? 簡単でしょ?
勿論最初は時間もかかるでしょうけど、元々タイピングに自信があるならすぐに安定して素早く執筆できるようになるはず。
ただ、問題は1ヶ月のうちに時給換算で5000円を超えるような仕事が幾つ入るかってことですね。
個々の仕事がどんなにさっさと終わっても、次の仕事を待つ間鼻クソほじるぐらいしかすることがないというのであればライターなんてしなくていいんですよね。
デキるライターになりたきゃ、とにかく日々沢山の案件を抱えているという状況を自分で作ることです。
長くなりましたが、もしも今フリーライターやイラストレーターを志している方は、どっかしら参考にして、後は適当に頑張って下さいね。